1・プランナーの勉強方法


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 前々回、プランナーの勉強方法をまとめたのを見たい方は
いますか? と募集しましたら、いくつかメールをいただきました。

 ご紹介しますね。


 向出さん

> 新田様
>
> いつも楽しくメルマガ読ませていただいております。

> 小職は、プランナー上がりのプロデューサーですが、
> 経験上での知識だったりノウハウだったりで、
> 具体的な勉強法を改めて知りたいと思っております。

> 私としては、ゲームはもちろんのこと、そのほか様々な
> エンターテインメントを見たり、聞いたり、読んだりすることを
> 行っております。

> ぜひ、新田さんのノウハウをご伝授いただければと思います。
> 何卒よろしくお願いいたします。


 向出さん、メールありがとうございます。

 経験上の知識、ノウハウはすべてのベース、道しるべになりますね。

 プランナーからプロデューサーになったわけですから、相当の
知識と経験があるのではと思います。


 私も、ゲーム以外のエンタテインメントをよく見ます。

 漫画、映画、小説。

 特に映画はよく観ます。


 売れているものはだいたい買うので、家の棚には映画のDVDが
ズラーッと並んでいます。

 売れているということは、やはりそれだけ一般人への訴求力が
あるということですから。


 まあ中には営業力だけで売っているな! というのもありますが。

 そういうのはすぐにブックオフで売ってしまいます(笑)。

 私の映画の選択基準は「どれだけ強く感情を動かされたか?」で、
そうやって面白いものだけを絞り込んで集めています。


 映画は2時間ほどの枠の中で、非常に密度の濃い時間を過ごせます。

 この2時間の中に、「人の感情を動かす流れ」がギッシリと
詰まってるんですよね。

 これは勉強の時間圧縮という意味でも、非常に効率的です。


 映画の演出はゲームデザインでも使える部分も多いです。


 ストーリーのイベントで、ではなく、ゲームシステムで、
という意味で。


 どうやって映画を、ゲームシステムの参考にするのか?


 これは説明がけっこう難しいですが、説明しますね。


 結論を先に言うと、面白い映画が持っている


「感情を動かす流れ」


を、ゲームシステムに組み込んで使うんです。

 そうすると、映画で感じた強烈な感情を、ゲームにシステムに
組み込むことができる。


 感情を動かす流れをゲームシステムに組み込むには、ちょっとした
発想の転換が必要ですが、可能です。

 ゲームというインタラクティヴメディアは、映画や小説などの
ナラティヴメディアが根底にあります。

 どちらも、時間の流れが根底にありますから。

 これは、わかりますよね。


 人間の脳に例えると、ナラティヴメディアという小脳の上に、
インタラクティヴメディアという大脳がある、と考えるのがいいでしょう。


 ゲームはプレイヤーの経験そのもの、映画は主人公の経験を語る、
という違いはありますが、どちらも時間軸に沿った「展開」があって、
それに沿って進む。


 例えばボタンを押すと話が進むアドベンチャーゲームと、
ページをめくる小説。

 似ていますよね。

 違いは選択肢があるかないか。

 まあ、この場合のアドベンチャーゲームは「ゲームなのか?」という
疑問がありますが。


 プレイヤーが取りうる選択肢が増えてくると、だんだんと
ゲームらしくなっていきます。

 アクションゲームは、16方向への移動と攻撃ボタンという
複雑な組み合わせの選択肢を作り出します。


 ゲームとは「選択する」メディアなんです。


 選択肢が減るほど、ゲームじゃなくなってくる。

 ゲームが薄まってくる。

 ある一定以上の選択肢があるものを、人は「ゲームっぽい」と
感じ出します。


 ちょっと話が逸れましたが、映画は


「感情を動かす流れ」


を見て、その流れがゲームに組み込めないか? を考えましょう。

 巷にはシナリオのいい本がありますので、それで勉強すると、
どういう流れがあると人はどう感情を感じるのか? というのが
わかると思います。

 それを、ゲームシステムに組み込めないか? と考えるわけです。


 そうすると、どんなメディアを楽しんでいる間でも、ゲーム企画の
勉強になります。

 

 あと私はよくビジネス書を読みます。

 マーケティング関係の本が本棚にズラーッと並んでいます。

 なぜマーケティングか? というと。

 今、会社で社長をやっているから、ということもあるんですが、
それだけでなく、ここにも「感情を動かす流れ」があるからなんです。


 マーケティングとは、ビジネスで売上を上げるための方法を
まとめたものと考えてください。


 ここで少しマーケティングの基礎を書くと、売上とは、


売上 = お客の数 × お客の支払う単価 × 購入頻度


なのですが、それぞれ、やはり


「感情を動かす流れ」


が必要なんですよ。

 集客するにしても、お客の感情を動かさなければいけない。

 商品の単価を上げるには、それ相応の価値、つまり商品の価値を
お客に感じてもらわなければいけない。

 何度も買ってもらうには、お客の信頼という感情がなければいけない。


 ほら、「感情の流れ」がありますよね。

 しかも、ビジネスとはもう何千年もの歴史がありますから、
「人の感情を動かす方法」については、ほぼ極まっているんです。


 「人の感情を動かす方法」で、新しいものはない。

 そう言い切れます。


 だから、その方法をゲームデザインに取り入れたらどうか?
と考えたわけです。

 すごい方法がたくさんありますよ、マーケティングの世界には。


 マーケティングには物を売るための文章の書き方として
「コピーライティング」という分野があるんですが、これがすごい。


 「コピーライティング」を学んでセールスレターを書けば、
 そこらへんに落ちている石ころだって売ってしまう。


 だから「企画書の書き方」という本を買って企画書を書くよりも、
「セールスレターの書き方」という本を買ったほうが、1000倍
役に立ちます。


 ゲームを作るには、ゲームに「人を動かす感情の流れ」を
盛り込むことが必要ですが、企画書を書くときは、
「人を動かす感情の流れ」を企画書に盛り込むことが必要なので、
それはちょっと次元の違うことなんですね。


 だから企画書を書くには、「人を動かす文章の書き方」系の
勉強が必要になります。


 根は同じなんですが、まずは企画書であなたが考えた「面白さ」を
他人に伝えることから始めなければいけないんですね。


 MASARUさん

>  初めまして、MASARUと申します。
> (ハンドルネームで申し訳ありません)
>
>  今回のメールマガジンも非常に興味深く、
> 私の糧とさせていただきました。
> ありがとうございました。
>
>  さて、今回のメールマガジンにも
> 掲載されていた「プランナーの勉強方法」。
>
> とても興味があります。なにを隠そう、私は現在ゲームクリエイターの
> 専門学校に通っているのです。
>  ぜひ、よろしくお願いします。
>
>  そして、お聞きしたいことがあります。

>  現在はチームでゲームを制作中で、ディレクター兼チーフプランナー
> として関わっています。

>  そこで企画を固めつつ、ディレクションをしているのですが、
> 立場上ワンマンプレイを避けられないところがあり、
> 自分の不甲斐無さなのですが若干の反発も生まれてきて、
> そういった部分での人心の管理能力が足りないようです。

>  こういった時、円滑に進めるためのコツなどありましたら、
> 是非参考にさせていただきますので、お聞かせいただけたら幸いです。
>
>  それでは、失礼いたします。ありがとうございました。

> 追伸:今年の目標は、「企画以外に誇れる特技を身に着けること」と
> しました。
>  現在AfterEffects等を使ってイメージムービーや、
> モーショングラフィックデザインを制作しています。
>
>  こうして報告した以上は必ず身につけます。がんばります。

 こんにちはMASARUさん。

 メールありがとうございます。

 「企画以外に誇れる特技を身につけること」、いいですね!

 いい企画、しいてはいい人間になるには、やはり参考経験が
大事だと思います。

 つまり、初めて経験することをたくさんすること。


 そして、自分がやりたいと思ったことを深めていく。

 それは必ず今後のためになると思います。

 頑張ってください!


 さて、ディレクションの悩みですね。

 ディレクションは私も何度も経験しました。

 プログラマでもメインプログラマとして経験しましたし、
プランナーとしても経験しました。


 人間関係の問題なのですが、これはもう普段から


「スタッフの意見を聞く」


ことだと思います。

 自分の想像で「こういうふうに感じているかもしれない」と
思って行動して、失敗することって多いんですよ。

 人のため、と思ってやった努力が無駄になってしまうこともある。

 これは辛いですよね。


 相手の思っていることは、質問して聞いてみることでしか、
わからない。

 特に、企画のディレクションは大勢のスタッフの人に「やってもらう」
立場なので、氣を使いますね。

 これは逆の立場になればわかると思うのですが、スタッフも人に
指示されてやる「やらされ仕事」の色が強くなってくると、イライラして
きます。


 だから普段から、


「企画でこういうことをしたいんだけど、どう思うかな?」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


と、意見を聞くことです。

 こうしていると、「自分に相談もなしにこんな仕様にして!」と
言われることがなくなります。

 これは防衛線を張っている訳ではなく、スタッフの各個人個人に、
「自分の目標」を確かめ、決めてもらう行為でもあるんです。


 「自分でできると言った事はひるがえさない」という、
「一貫性の法則」を人間は持っているのですが、聞くことで、
そのスタッフに自分で自分の限界を確かめ、目標を決めてもらうことが
できます。

 あと、意見を聞く、という行為が、「プロジェクトに参加している」
「自分の意見が取り入れられている」という気持ちに繋がり、プロジェクトへの
コミットメント(責任と約束)意識が高まります。


 もちろん、いい意見は取り入れていきます。

 意見を選択するのは企画の役割なので、取捨選択に躊躇しなくても
大丈夫です。


 スタッフに意見を仰ぐ。

 これを欠かさないことですね。


 あとは、「ホウレンソウ」を忘れないことです。

 報告、連絡、相談、の略で、ホウレンソウです。

 他の業界では常識ですが、ゲーム業界ではあまり聞いたことがないかも
しれません。


 人は、けっこう他人の行動を伺っています。

 「あいつについていってもいいのか悪いのか」ということを無意識に
判断しています。


 特に企画の行動はよく見られていますよ。

 さぼってるんじゃないか、俺らが遅くまで残ってるのに早く帰って
るんじゃないか...。

 これは私も使われる立場のプログラマだったのでよくわかります(笑)。

 特に意識してそう思っているのではなく、なんとなく、無意識に
そういう行動が目につくのです。


 企画やディレクションは、自分は黙々と頑張っているつもりでも、
自分が今なにをしているのかをこまめに報告しないと、


「あいつはいったいなんの仕事をしているんだ?」

「自分達の仕事と関係のあることをしているのか?」


 と、不安と猜疑心を抱かれてしまいます。


 だから「ホウレンソウ」は、


「何か出来事が起きたらホウレンソウを1アクション」


くらいに考えたほうがいいです。


 社内にプロジェクト用のメーリングリストを作って、
なにか起こるたびに報告。

 それくらいマメに報告しましょう。


 掲示板のような、見に行かないとわからないメディアにはしないほうが
いいです。

 強制的に情報が相手に伝わる「プッシュ型」のメディアを
情報伝達手段に使いましょう。


 それから、企画はリーダーですから、人の先をいかなければいけない。

 そして他の人の見本である必要がある。


 私は仕事でスタッフに無理をさせるのが嫌だったし、自分もタダ残業は
嫌だったので、サービス残業や付き合い残業はなるべくしないように、
とスタッフに言っていました。

 そういうプロジェクトルール的なものは、最初に考えて言いまわって
ました。

 リーダーが言いまわっていると、そういう風土というか、空気が
出来ていきます。

 リーダーがどういう意識でチームビルディングをしたいのかは、
非常に敏感に伝わりますから、紙に印刷して配ってでも、


「このプロジェクトはこうあるべきである」


という理念を作っておいたほうがいいです。


 もちろんみんなと相談の上で、ですよ。

 自分らのミッション(使命)を作ることは、プロジェクトへの
コミットメント意識を高くする上で、非常に大きな効果があります。

 仲間意識を高めることができます。


 あと、リーダーは「このプロジェクトを成功させるんだ!」という
一貫性を持つことをお薦めします。

 そういう人に、人はついていこうと思います。


 「一貫性」とは、言動、行動、姿勢、すべてにおいて、
1つのことを表現することです。

 何かを話すとき、「いい仕事をするよ」と言ったとしても、
姿勢が「だら~ん」としていたら、誰も信じませんよね?


 「いい仕事をしてみせる!」と、目力強く、はっきりと
言うことができれば、相手は「おっ!? こいつは本気だ」と
思います。


 そういう思いは、チームスタッフに伝播していきます。

 そうすると、いい仕事をする人が増えます。


 あなたが影響力の中心になるために、いいプロジェクトに
するために、いいゲームを作るために、一貫性を持つことです。

 自分のこの状態を維持するのは最初は難しいかもしれませんが、
やっているうちに「そういう人」になっていきます。

 不思議なもので。

 ディレクションの立場の方へのアドバイスは以上です。

 もう少し細かい状況を教えてもらえれば、また違ったアドバイスが
できると思います。


 ところで。

 管理職はつまらないという人がいるかもしれませんが、
企画ってほとんど管理職ですから。


 ゲームが仕様どおりにできてきているか管理する人。


 企画だけ投げて、あとはやってね、という職業につきたいな~と
いう人が学生には多くいるようですが、そんな仕事はありません(笑)。

 あったら私がつきたいです(笑)。


 あ、唯一、社長になればそういう立場に立てるかもしれませんが。

 ものすごいお金を持っている社長でなければいけませんけど。


 ともかく、純粋に自分の目標を達成したいと思ったら、
楽な仕事はないということです。


 最低限の努力ではなく、最高限の努力をできる人が、
自分の思い通りの仕事を成し遂げることができると思います。


 

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このページは、n2laboが2008年12月29日 21:05に書いたブログ記事です。

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