2・ゲームの立ち位置を徹底せよ!

 

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 市場にゲームを投入するにあたって、企画の時点から考えておかなければ
いけない、非常に重要な項目があります。

 これは、ゲームのよしあしや、作ったゲームが業界の中でどんな影響力を
持つのか、そしてそのゲームが末永く語り継がれるものになるのか、
ということを決定する、あまりにも大事な項目です。

しかし実際は、ほとんどのプランナーが考えていません。


 私の知り合いでも一部の人だけが考えているだけです。

 これを考えずして、ヒットを期待するのはバクチであり、運任せです。

 ではその重要な項目とはいったいなにかというと、それは、

 

「ポジショニング」
~~~~~~~~~~~~~~~~~


です。


「今回作るゲームは、ゲーム市場においてどんな位置づけになるのか」


 ということです。


 例えば、あなたがRPGを作るとしましょう。

 ポジション、つまり「位置」は相対的なものですから、他にどんな
RPGが出ているかがのりサーチをすることが、まずはポジショニングの
基本になります。


 要するに「競合」(コンペティター)を調べるわけです。


 すると、ムービーに特化したRPGがある。

 アクションRPGがある。

 シミュレーションRPGがある。


 それぞれは、ファンタジーなのか、戦国ものか、中国ものか、
など、「住み分け」が進んでいますね。

 そしてその中で、技術力を常に高めつつ、追随を許さないような
勢いで、大手メーカーがシリーズをリリースしている。

 ブランド化を進めているわけです。

 こんなふうに、それぞれの位置関係がわかってきます。


 ではあなたとしては、どういうRPGを作れば、この中に入って
生き残っていけると考えるでしょうか?


 当然、他と似たようなものを作れば、比較されることになります。

 完成度や面白さが比較されるわけです。

 同ジャンルのゲームですから。

 そして、より出来の良いほう、面白いほうがプレイヤーに選ばれる。


 じゃあ競合に勝つために、やはり技術力を高め続けることが
重要なことだな、という人がいますが、それは半分正解ですが、
半分間違いです。


 もちろん、技術力を高め続けていくことはプレイヤーの満足に
つながりますから、日々鍛えていくほうがよいです。


 しかし、「競合に勝つために」と考えることは、「疲弊する開発」を
することにつながる上に、「結果」が出ないことが多いのです。

 競合相手は、すでにそのジャンルにおいて、大きなアドバンテージ
(優位性)を持っているわけですから、そこに追いつけ追い越せと
開発を進めても、2番手に甘んじてしまうことが多くなる。

 「先行者利益」というものがあるからです。

 先に行っている人に追いつくには、倍のスピードがいるんですね。


 人々は、どんなことであれ、1番を取った人は覚えますし、
記録にも残ります。

 例えば、月面にはじめて足跡をつけた人を知っている人は多いと
思います。

 「ニール・アームストロング」という名前は聞いたことがありますよね。


 しかし、2番目に足跡をつけた人をあなたは知っていますか?

 エドウィン・オルドリンという人なのですが、ほとんどの人が
知らないと思います。


 1番以外は、話題に登らないのです。


 だから、ゲームを作ることに置いても、ナンバーワンになることが
戦略上重要なことになるのです。


 そこでまず、よほど勝てる見込みがない限り、既に優位性を持たれて
しまっている部分では勝負をしないことにするわけです。


 それ以外の、まだ誰も手を出していない部分でのナンバーワンを狙う。

 もしくは、楽勝で勝てそうな競合がいるジャンルを狙う。

 

 しかし誰も手を出していない部分って、どうやって見つければいいんだ...?

 

 そこはプランナーの腕の見せ所で、まずアイデアを出し、それを
選別する過程で、


「このアイデアは競合するだろうか?」

「このアイデアは一番の優位性があるだろうか?」


と考えるのです。


 いい例を挙げましょう。

 私の友人の会社がこういうゲームを作りました。


VAZIAL SAGA ~愚民化戦略~ - ゲームレビュー - Vector GAMES
http://www.vector.co.jp/games/review/1243/1243.html


 このゲームは、一見シミュレーションゲームですが、その売り込み文句が
「反社会的」でした。

 「愚民を洗脳して税金を搾取せよ!」と謳われています。

 コンシューマ・ゲームではヤバくてできない謳い文句ですね(笑)。


 ゲーム自体、非常に練りこまれ、面白いものになっているのですが、
PC市場だからこそできる「反社会的な世界観」をプラスすることにより、
大きな注目を集めることに成功し、ベクターから賞をもらうまでに至りました。


 この「ヴァジアル・サーガ」は世界観を広げるための
マーチャント(関連グッズ)として、ボーカル入りのサントラCDを
出しているのですが、これがさらにニコニコ動画で二次創作に使われ、
物議を醸し出しました。

 著作権に触れる内容だったので動画は削除されましたが、こうした
ムーブメントが起こったのも、ゲームのポジショニングを特異な世界観に
より作り出したからです。


 これが、普通の三国志を真似た、なんの変哲もない世界観だったなら、
ここまで話題になったでしょうか?

 たぶん、ならなかったと思います。

 話題になる要素がないわけですから。


 ちなみに、私は「だからゲームの世界観を反社会的にしよう」と
言っているわけではありませんので、あしからず(笑)。


 他と差別化したポジションを得る方法は、アイデア次第でいくらでも
出てきます。


 もうひとつ、わかりやすい例を挙げるなら、ゲームソフトでは
ありませんが、「Wii」の存在です。


 これまで、ゲームハードはグラフィック機能の向上を第一目的として
進化してきました。

 新しいゲームハードが出るときは、必ず1/60秒間に出せるポリゴンの
数とか、処理スピードがどれだけ向上したか、載せられているチップは
どれだけ性能がいいのか、などが話題になりました。


 SCE、マイクロソフト、任天堂ともに、性能競争にしのぎを削っていた
わけです。


 しかしここにきて、任天堂は新しいポジションを打ち出しました。

 性能競争からはずれ、新しい操作系を加えた、新しい遊びを提案するという
ポジションです。


 このポジショニングにより、今まで3つ巴だったゲーム業界は、
任天堂だけが特殊なポジションになりました。

 つまり、「Wii」は性能競争からはずれた形になり、その代わり、
新しい客層を抱え込むことに成功したわけです。

 「Wii」は新しくて楽しそうだから欲しい、という需要を生んだわけです。


 「Wii」の持つポジションは、性能という競合をせず、新しい操作、
という競合のいない、オンリーワンのポジションです。


 対して「PS3」や「XBOX360」は、引き続き性能競争のポジションにいます。


 これでどういうことが起こるか、というと。


 「Wii」をまず買う。

 そして「PS3」もしくは「XBOX360」のどちらかを買う、という現象が
起こるわけです。

 競合している場所が違うわけですから、両方のポジションの製品を買う、
ということが起こるわけですね。


 比較する対象がなくなれば、「どちらを買うか」とは考えなくなる
わり「買うか買わないか」を考えることになる。

 で、「Wii」で新しい体験をしたいから買う、という人がドッと押し寄せた。


 DSとPSPも、基本は同じです。

 これまでの携帯ゲーム機の競合とはまったく違うポジションにDSが行って
しまったんですね。

 ポジショニングの変化により、買われ方が変ったわけです。


 これまでのゲームの在りかたが飽きられて、産業規模が半分になり、
そろそろ新機軸が必要...という時期でしたから、「Wii」の登場はタイミング的にも
よかった。


 「PS3」と「XBOX360」は、おそらく今後、どちらかが性能による
オンリーワンを取り、どちらかが別の機軸(たとえばゲームらしいゲームを
出すことにこだわるとか)の方向に行くのではないかと予想しています。

 

 さて、「ポジショニング」の重要性がわかっていただけたでしょうか。

 ゲームを作る時も、他と競合せず、唯一無二のポジションを確保することに
よって、ヒットが出やすい状況になります。

 なぜならそれが新しい体験になるからです。


 エモーショナル・ゲームデザインの観点から言えば、ポジショニングの違いは

 

「このゲームは新しい感情を感じさせてくれそうだ!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


という期待を、プレイヤーに感じさせるんですね。

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