ゲーム開発のコミュニケーション

 

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福崎さん

私個人としては、最近人間同士のコミュニケーションの重要性が
気になっております。

もちろんユーザーさんとのコミュニケーションも大切なのですが、
想像以上に制作スタッフ同士のコミュニケーション(意思疎通)が、
商品の伝達力に影響を与えているような気がします。

逆説的ではありますが、身近にいる人間とのコミュニケーションが
上手くいっていないと、ユーザーさんとも通じ合えないような...
そんな感覚を、最近肌で感じています。

コミュニケーションについても、メルマガで取り上げて
下さると嬉しいです。
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 さて今回はリクエストもあったので、コミュニケーションに
ついて書きます。

 コミュニケーション。

 交流。

 人間関係の端緒。


 深いです。

 人生から切っては切り離せないものですね。

 満足のいくコミュニケーションがなければ、満足のいく
人生は送れません。

 どんなに物質的に恵まれていても、どんなに仕事が
うまくいっていても、身近な人間関係が破綻していれば
すべてはぶち壊しです。


 だから、コミュニケーションをマスターすることは、
人生をマスターすることに似ています。


 ゲーム開発におけるコミュニケーションについても少しは
触れますが、結局のところ、コミュニケーションの原則を
知らなければ、どんなにうわべを取り繕うスキルを知っていても
意味がない。

 逆を言えば、コミュニケーションの原則を知っていれば
どんなに人間関係が壊れても、修復することが可能です。


 プランナーやディレクターは、スタッフに指示を
与える側であり、いわば「リーダー的役割」を担う立場です。


 リーダーは、スタッフの行動を引き出すことができれなければ、
リーダー足りえません。

 コミュニケーションの原則を知り、活用することができれば、
立派にリーダーを務めることができるようになるでしょう。


 今回は、3つのコミュニケーションの原則をシェアします。

 


●1・原則1:批判や非難をしない


 世の中には他人の責任を追及するのが好きな人がいて、
年がら年中、政治家や芸能人のスキャンダルを話題にしている
人がいます。


 もしくは、あの上司がこういうわけで使えないだの、
上司足り得ないだの、社内にこういう問題が上がっていて
やってられないだの、ゴシップ話に明け暮れている人。


 誰に責任があって、謝らなければいけないだの、責任を取って
辞任しなければいけないだの、裁判官にでもなったかのような
つもりで話をする。


 あなたがコミュニケーションの達人になろうと思うのなら、
絶対にこういう人になってはだめです。


 特に、クリエイターはこのような非生産的な批判を繰り返す
かわりに、自分でそれを解決するものを作ってしまう気概を
持つべきです。

 解決する立場にないのなら、自分にとっての大事に
フォーカスを当てて、話題にしないことです。

 

 はっきり言うなら、批判も非難も、苦情も愚痴も無益です。

 

 私たちが常に直面しているのは、なにかがうまくいくように、
解決の手立てを粛々と進めていく場面なのです。


 確かに責任追及が必要なときもあるかもしれません。

 しかし、よほどでない限りそれは後回しでもかまわない
わけで、切実に行動しなければいけないのは、目前にある問題を
解決することなのです。


 以前、私は某大手の会社に出向して仕事をしていました。

 そこには300人以上のスタッフがいて、大規模なゲームの
開発をしていました。

 しかし大規模なゲーム製作にも関わらず、トップの
クリエイターからは仕様変更が相次ぎ、そのたびに
各部門はおおわらわ。

 何週間もかけて作ったものを捨ててはまた作り、というのを
繰り返していました。


 私も例外ではなく、プログラム作業の3/4くらいは
無駄になり、ゲンナリしたものです。


 時間をかけて作ったものを、ツルの一声で捨てることになる。

 無駄につぐ無駄。


 無から有を生むには、生みの苦痛が伴います。

 だから、ある程度こうした無駄はしょうがないのですが、
 下にいるスタッフにとっては、ストレス以外の
なにものでもないわけです。

 案の定、開発の現場では批判や愚痴が飛び交い、時には


「おまえら企画はどういうつもりなんだ? ふざけるな!」


と、怒号まで飛ぶ始末でした。


 しかし、リーダーがその渦中にいたのでは、リーダーの
役目を果たせません。


 その某大手の各部門のリーダーも、さすがリーダー(メイン)に
位置しているだけあり、あくまで冷静に、生産的に状況を
前に進めようと勤めていました。


 作業をしているスタッフに非難の同意を求められても、


「まあわかるけど、そんなこと言っても、しょうがないよね」


と、相手の意を汲みながらも、状況解決をする立場に
徹していました。


 リーダーの立場に立つとわかりますが、リーダーは
起きた問題を「自分のせいじゃない」と誰かに丸投げするわけには
いきません。


 起きた問題を解決すべく、動く必要があるわけです。


 もしくは、そういった問題が起こらないように、あらかじめ
ルールを決めておく必要がある。

 問題のために、プロジェクトの進行を遅らせるわけには
いかないからです。

 批判も非難も苦情も愚痴も「停滞」にしかならないので、
言っている暇などありません。


 コミュニケーションの目的は、「相互理解」です。


 お互いの利害・立場・状況の理解が十分であれば、対立したり、
いがみあったりすることはほぼありません。


 誰しも、自分が悪い、間違っていると思いながらその行動を
したりはしません。

 泥棒であっても、自分がこういう行動をするのは
仕方のないことなのだ、間違ってはいないのだ、と思わなければ、
泥棒はできないわけです。


 お互いの状況をお互いに理解していれば、出てくるのは
第3案です。

 いわゆる、ヘーゲルが発明した弁証法、止揚(アウフヘーベン)
という考え方です。

 「正・反・合」とも言います。


 互いに対立した意見(正・反)を俯瞰し、その意見を
あわせた解決策(合)を見出す、ということです。


 相手のことをまず理解し、それから自分のことを理解してもらう。

 そして第3案を出す。

 リーダーはこうして、問題解決に努めるのです。

 


●2・率直で、誠実な評価を与える

 今の世の中は、なかなか「褒められない」世の中です。


 世間の基準は、こうです。


 良い仕事をする。

 しかし、それは普通。

 良い仕事をするのはごくごく当たり前のこと。

 厳しいところであれば、良い仕事は当たり前で、
さらにいい仕事をしなければ、「悪い」とまで評価が
ついてしまう。

 だから良い仕事をした、と思っても誰も褒めないわけです。

 

 優秀な仕事をする。

 そこでやっと「良い」という評価をされる。

 相当がんばらないと、優秀な結果は残せません。

 特に今は専門職、専門技能を持っている人が
認められる時代になってきた。

 多角的に高い能力を持っていないと優秀とは
言われないわけです。

 だから、会社が終わってからの自分の時間を
使って勉強し、知識をどんどん深めることをしている
人が、やっと褒められる。

 褒められるには、毎日の努力が必要なのです。


 こういう状況の中、コミュニケーションの達人である
あなたはなにをすればいいのでしょうか?


 あなたがチームのリーダーだとして、
スタッフを伸ばしていくには、どうすればいいのでしょうか?


 それには、ちょっとでも褒められるべき部分を見つけたら、
率直にそれを相手に伝えることです。


 お世辞を言え、といっているのではないです。

 滞りなく進んでいるというその人の仕事を正当に評価し、
そういう仕事をしているのだ、ということを教えてあげる
というだけのことです。


 私たちは、労働の対価として給料をもらっていますが、
それだけが目的で働いているわけではありません。

 では実際にどうして人が進んで働くのかというと、
それは「やりがい」があるからです。


 「やりがい」というのは、仕事をやり終えたときの
達成感というのもありますが、それより大きなのは、
自分という存在のしてきたことが、ちゃんと認められている、
という思いなのです。


 自分は会社に貢献し、役に立っている、認められている
という、ささやかな思いを得たいがために、厳しい仕事を
こなしているのです。


 だからリーダーは、それを率直に認めてあげることです。


 自分の長所をアピールしたり、褒められたいという
欲求を忘れ、スタッフの長所を見つけ、それを教えて
あげること。


 褒めるということは非常に重要なことです。

 褒められた相手は、それを心の奥深くしまいこんで、
終生忘れないでしょう。


 褒めた本人が忘れても、褒められた相手は、いつまでも
そのことを忘れず、思い出すものです。


●3・強い欲求を起こさせる

 「成功の秘訣というものがあるとすれば、それは、他人の
立場を理解し、自分の立場と同時に、他人の立場からも
物事を見る能力である」

 ヘンリー・フォード


 人を動かしたいと思ったときに、あなたはまっさきに
なにをすればいいと思いますか?


 命令でしょうか?

 お願いでしょうか?


 そう簡単なことではないですよね。


 給料をもらっているんだから仕事をしろ、会社なんだから
仕事をしろ、ではうまくいかないのは明白です。


 人は、強制されてやらされるのではなく、自分で選択した
ことをやりたいのです。


 圧力で仕事をさせる「ボス的」なやりかたでは、
一時的には仕事をしても、結局は信頼されないし、
積極的に作るものをよくしようなどという気持ちも
生まれません。


 反目の気持ちを増長し、影で悪口を叩かれるのが
オチです。


 仕事だと言われなくても、スタッフは仕事であることは
認識しているし、協調して仕事をすることで1つのもの
が完成することを知っている。


 また、ただただお願い、お願い、では、面倒だったり
難しかったりする仕事をなかなかやってもらえません。

 下手に出ているだけでは、ナメられてしまうこともあります。


 では、どうすればいいのか?


 私たちは、自分の好きなものに興味を持ちます。

 でも、それを相手が興味を持ってくれるとは限りません。

 その人も、自分の好きなものに興味を持っているのです。


 だから、人に動いて欲しいときは、自分の欲求をそのまま
叩きつけるのではなく、相手が欲しい結果に、自分の欲しい結果を
結びつけることです。

 相手が本当に欲しいもの、メリットに焦点を合わせるのです。

 簡単に言うと、

 

「自分のニーズを相手のニーズに置き換える」

 

ことです。

 これは決して、相手をコントロールするために、アメを
与えるのだ、ということではありません。


 双方がWin-Winの関係であるための方法です。


 では、具体的に「自分のニーズを相手のニーズに置き換える」
とはどういうことなのかでしょうか。


 まずは、相手のニーズを考えることです。

 現場のスタッフのことを考えてください。

 彼らは、いったいなにが欲しくて、仕事を
しているのでしょうか?


 どうせやるならば、自慢できるものを作りたい。

 賞賛されたい。

 楽しく仕事がしたい。

 快適な環境で仕事をしたい。

 良好な人間関係の中、仕事をしたい。

 挑戦のしがいのある仕事をしたい。

 自分のセンスが出せるような仕事をしたい。

 自分が本当に作りたいものを作りたい。

 自分がこの業界に入った目的と合致するものを作りたい。

 


 彼らに、それとなく聞いてみてください。

 なにを求めて、ここにいるのか。


 自分の成功でなく、彼らの成功を応援してあげるのです。

 結局のところ、それがあなたの成功につながります。


 彼らから意見を聞き、改善案を引き出してください。

 どうなることを、彼らは望んでいるのか、
それを引き出してください。


 そしてその改善案を採用すれば、その改善案を出した人は
最も熱心にその案を遂行するはずです。

 わかるでしょうか。


 スタッフから強い熱意を引き出すには、


「私にとって」「会社にとって」


ではなく、


「その人にとって」


を考える必要があります。


 以上が、3つのコミュニケーションの原則でした。

 この原則は、今から使えます。


 家族に対して。

 友人に対して。

 同僚に対して。


 さっそく、この原則の威力を試してみてくださいね。

 

 

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