メイキング・オリジナリティ(5)

 

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●テスト・マーケティング

 はじめに断っておきたいのは、この方法はすぐにヒットゲームがバーン! 
と作れる魔法のような方法ではないということです。

 けっこう地道な作業なんですよ。

 ただし、これをするのとしないのとでは、結果が大きく違ってきます。

 特に大きな成果が出るまでの期間が大きく違ってくるでしょう。

 ではその方法とはどんな方法か? というと...。

 「テスト・マーケティング」という手法です。
 (以前にもちょっと紹介しましたね)

 今のゲーム開発でも、コンペという形で各社(この場合仕事が欲しいデベロッ
パー)が企画書を提出し、その中から「イケそうな」企画を選んで開発をスター
トする、という、いわゆる企画競争が行なわれています。

 しかしながら、これは審査員のフィルタリングで市場に出る形なので、テス
ト・マーケティングとは言いません。マーケット相手の調査でないからです。


 私がこのコンペで疑問に思うのは、「実際のデータが取れていない」という
ところです。結局審査員の感覚的なところで判断されるので、企画が選ばれて
も、本当にウケるのか? という疑問が残ります。
 確証に近いものがないんですね。

 そして今までにあったような、無難な内容のものが採用されてしまうことが
多いように思います。

 「売れる」というところに注目すると、どうしても過去に売れたものの判例
から推測することになってしまうからですね。


 それに対しテスト・マーケティングは、企画を基本的な部分以外フィルタリ
ングせず、「まず小規模に公開する」というところから始めます。

 市場に対して小規模なテストを行い、そこでプレイヤーが受けた印象やイン
パクトなどの、感覚的な部分のデータを客観的な数値に落とし、売れそうかど
うかを判断する。
 テレビの視聴率調査のように、統計学で部分から全体の量を推測するわけです。

 一定期間テストして、芳しくないならそこでテストは終了。

 「イケそうだ!」となったら、規模を大きくして本格的に作り始めるわけで
す。


 テストでは、実際結果が芳しくないことが多い。

 それはいかに売れるものを作るのが難しいか、ということを示す結果でもあ
るのですが、しかし、そこからもデータが取れるので、「では次にどうすれば
いいのか?」の判断がしやすくなるんですね。

 うまくいかなかった事例から、次の成功へのヒントが得られるというわけで
す。

 この、ヒントとしてのデータが得られるという部分が、非常に重要です。

 成功への蓄積になっていくわけですね。

 どういうものが爆発的に売れる要素になるのか? これが検証されていくわ
けです。

 テストですから、オリジナリティ溢れる奇抜な企画や「そんなのウケないよ」
という企画も、とりあえずテストしてみる...ということができます。
 実地検証ですから、その是非は明確に出ます。

 ゲームの面白さは企画で90%決まってしまいますから、初期段階でこうい
うテストをして企画の効果を測定することは大事です。

 というより、まるまる1本、大金を投資して1年かけて作ったら、結果的に
売れなくて、無駄な労力の投資に終わった...という徒労が行なわれなくなるこ
と自体が、非常に有益ではないでしょうか。


 ここで、ゲーム開発でテスト・マーケティングを実際に行なう場合を考えて
みましょう。


・テストでどの程度の規模を作るか

 これは実際に行なわれていないので、試行錯誤が必要だと思いますが、少な
くとも2週間~1ヶ月で作れる規模だと思います。ミニゲーム規模ですね。

 グラフィックは簡単なものにし、プログラムはゲームのコアとなる面白さの
部分だけを作る...というように、余計な部分を殺ぎ落とした形にします。

 資金の問題もありますから、実機でなく、FLASHで作るなど、テスト・マー
ケティングのスクリプティング環境を用意して、コストダウンを図ることも
必然的になってくるでしょう。


・コンシューマゲームのテストはどうするか

 専用の開発機での製作など、外部に簡単に出せないような開発では内部でテ
ストをせざるを得ません。
 この場合はボランティアの人を連れてくるか、ゲームの専門学校生を連れて
きてに評価を手伝ってもらうなど(笑)、手を考えなければいけませんね。

 ただし、統計学では最低40~50件のデータが集まれば全体を推測できる、
という数字が出ていますので、それほど多くの人手はいらないと思います。


・物語やシステムのトータルな完成度で売れるかどうかが決まるから、小規模
なものの判断では実際のデータとならないのではないか

 あくまでもゲームのコアな部分をテストするのが、テスト・マーケティング
の目的ですから、トータルな評価は困難です(それは、全体が完成したときに
しか評価できない形です)。

 ですので、あくまで物語は物語、システムはシステムと部分的に市場テスト
をしていく方法になると思います。

            *     *     *


 ゲーム開発は、まず売り出して市場調査をし、そこからデータを得る...とい
うマーケティングをするには、あまりにも開発規模が大きい。

 家電業界や車業界が行なっているような、事前の小規模テスト・マーケティ
ングを行なって、もうちょっと慎重かつ確実な開発を図っていく必要があるの
ではないかと思います。


 ゲームのような、作品性を強く打ち出す必要がある商品は、富にオリジナリ
ティがいると思うのですが、今の業態のままオリジナリティをひねり出すのは
「バクチ要素」が強すぎると思います。


 コンスタントに、オリジナリティがありかつ売れるソフトを出せるような体
制が出来て、ソフトの内容に多様性が生まれれば、キラーソフトが多く輩出さ
れ、業界の活性化につながるのではないかと思います。

 

 

 

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