コスティキャンのゲーム論・解説(15)

 

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●「ゲーム」を魅力的なものにする他の要素:シミュレーション


 まず、シミュレーションとはなんでしょう?


 辞書で引くと、「まね、見せかけ、模擬」とあります。

ゲームで言うと、例えばフライトシミュレーションとか、都市建設シミュレー
ションとか、ビル経営シミュレーションとか、そういう「体験」を擬似的にす
るためのものをシミュレーションといいますね。

 ただ実際は、ゲームであるがために、実際のものよりもっとはしょられ、楽
しさを感じる部分だけデフォルメされる場合が多い。


 ここには、人がゲームに求めるものと、「模擬」することそれ自体のギャッ
プがあります。


 「グランツーリスモ」などは、駆動系の計算を実際の車の構造に合わせ、画
面での挙動が現実のそれに近くなるようにしているところがある意味「ウリ」
ですが、これはゲーム的な楽しさよりも、精密な技術で作られた「デジタルガ
ジェット」(人のスタイルを表現する電子的な機械小物)としての意味合いが
強いですね。

 これは本来的な意味でのゲームとは、ちょっと違う魅力だと思います。
 しかしこれはこれでアリです。

 

 「シミュレートすることそのもの」が魅力になっているいい例でしょう。

 

●特定の世界観をシミュレートしたゲームは、ヒットすることが多い

 コスティキャンはこう言います。


「ところで、私の見るところ、なぜかワーテルローの戦いを扱ったゲームはヒ
ットすることが多いようだ。そこで、その気になれば「モノポリー」に手を入
れて、例えば「パークプレース」を「カトル・ブラ」に変え、ホテルのコマを
プラスチックの兵隊に変えて、ゲームの名前を「ワーテルロー」に変えてしま
えば、きっとヒットするゲームを作ることが出来るだろう」


 日本では「ワーテルローの戦い」がヒットするべくもないですが、こういっ
た「ヒットに繋がるシミュレート」は存在します。


 例えば、先の「グランツーリスモ」。

 それから、競馬と馬主のシミュレーションである「ダービースタリオン」。

 あとは、野球、サッカー等、スポーツもの全般がウケます。

 戦争歴史ものもウケます。三国志、戦国列伝、エイジオブエンパイア等。


 それから、指輪物語から始まったファンタジーの世界観をシミュレートした
ものも、かつて隆盛を誇っていましたね。

 中世における剣と魔法、権力階級(「王族」の存在)の世界観のシミュレー
トです。
(今は昔の成功体験を引きずりすぎているきらいがありますが...)


 それからSFですね。
 映画で大きなヒットというと、必ずSFなんですね。

 

 こんな感じで、ヒットする世界観には「王道」があります。

 ↑ これ、非常に大事です!!


(それぞれの世界観に細かな「ヒットのトリガー」があると私は考えています)


●シミュレートをゲームシステムに反映させる

 コスティキャンは自分がゲームデザインした「スターウォーズRPG」を作
るにあたって、ただ別のゲームの名前を変えるだけより、もっとましな方法が
ある、といっています。

 

「私の狙いは映画をシミュレートすることだった。プレーヤーには、すごくカッ
コいい映画的なアクションに挑戦してもらいたかった。

 そこで、私はあの映画が持っている雰囲気やノリを、ルールシステムそれ自
体に反映させるようにしたのである」

 

「プレイヤーには、すごくカッコいい映画的なアクションに挑戦してもらいたかっ
た!」

 

 これ、重要です。

 

 なにが重要かというと「映画的なアクションに挑戦してもらいたかった」と
いう部分。


 つまり、プレイヤーに


「なにを体験してもらうのか?」


ということです。


 なにかをシミュレートするということは、そのシミュレートするものを擬似
的に体験してもらう、ということですから、「なにを体験してもらうか?」と
いう問いが、非常に重要になってくる。

 

 体験には五感が伴います。

 だからその体験に伴う動きや操作をシミュレートする、雰囲気やノリをシス
テム自体に反映させることが、「疑似体験」にダイレクトにつながっていきま
す。

 

 私がここで思い出すのが「ゼルダの伝説~神々のトライフォース」です。


 あのゲームには「引っぱる」という操作がありましたが、ただボタンを押せ
ば、隣にあるものを引っぱるという操作ではありませんでした。


 ちゃんと「引っぱる」という行為をシミュレートして、「ボタンを押して引っ
ぱるものをつかんでから、十字キーを引っ張りたい方向に倒す」という操作だっ
たんですね。


 それから分かりやすいのがカプコンの「鉄騎」ですね。

 雰囲気やノリが、操作機器やゲームシステムに反映されていますね。

 

 コスティキャンはほかにもシミュレートの有益な点について、以下のことに
言及しています。

 

▼シミュレートされている人物についての理解や共感を深めてくれる

 歴史ものゲームなど、シミュレートする人と同じ行動をゲーム内ですること
で、その人たちの行動理由、考えがよくわかり、結果、感情移入が促されます。


▼当時の状況について単に歴史書を読むよりもずっと深い洞察を得ることが出
来る

 ゲームは史実どおりにゲームが展開していくとは限りません。
 それが結果として「ここにこの武将がいなかったらどうなるか?」などと展
開の可能性を考えることに繋がり、歴史の裏もオモテも知り尽くすことに繋が
ります。

 コスティキャンはナポレオンのゲームをプレイして、


「ワーテルローの戦いをテーマにした本を1ダース読んでも、(ナポレオンの歴
史の理解を)ここまで達することは出来ないだろう」


 と言っています。


 プレイヤー自身がゲームの主体になることによって、物事の理解力はかなり
深まります。


 なぜかというと、映画のように客観視点でなく、主観視点で見ることは、そ
の人自身が経験(五感と思考を組み合わせた体験)をすることですから、強烈
に記憶が残るんですね。


 この点はゲームを学習につなげようという「シリアスゲーム」で大いに役立
ちそうな部分ですね。

 

 要点。

 単純にそのものを精巧に「真似」するのがシミュレーションにおいて大事な
のではありません。

 それはただ操作と手順が長くなり、複雑になるだけ。


 大事なのは、シミュレーションによって、


「プレイヤーがなにをどう体験するのか?」


 という点なんですね。


  →ゲームを分析するときは、「シミュレーションという要素が、この
   ゲームをどのように魅力的なものにしているのか」という点を考えなけ
   ればならない。

 

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