コスティキャンのゲーム論・解説(17)

 

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●「ゲーム」を魅力的なものにする他の要素:感情移入

 「プレイヤーをキャラクタに感情移入させるんだ!」とは創作においてよく
聞く言葉ですが、では感情移入とはなんでしょうか?


 いまいち、定義がはっきりしませんよね?


 ということで、辞書で調べると、

「他人の言葉や表情をもとに、その感情や態度を追体験すること。共感」


「自然や芸術作品などの対象に自分の感情を投射し一体化すること」

 

 とあります。
 なるほどなるほど。


 私なりにこれらを解釈すると、つまり感情移入とは、単純に

 

「他人や作品などに共感する」

 

ことだと思います。


 例えばですね、あなたの友達が料理をしていて、包丁でケガをした。


 そうすると、友達の苦悶の表情、「いてー!」という声、そして傷口から出
る血、そういう状況を見てあなたは一緒になって「痛そう!」と顔をゆがめる
わけです。


 これは友達が「感じているであろう感情」を、あなたが共感した状態ですね。


 人間は他人が感じているであろう感情を瞬時に読み取り、自分に投射して、
自然にその感情を自分の中で再現しようとします。
(これはおそらく本能に根ざした人間の機能ですね)

 

 ちょっと説明が難しくなりましたが、これが「感情移入」の状態です。

 

 もともと感情移入は、普段の生活ではごく自然に起こることですが、ゲーム
や映画などの作品は「虚構」であるため、感情移入が起こるように仕向けなけ
ればいけないんですね。

 共感できるように仕向けなければいけないんです。


 ですから、物語において「キャラクタを立てる」には、読み手がそのキャラ
クタに共感できるように行動させ、キャラクタに起こる問題がさも読み手の問
題であるかのようにするといいんですね。


 これはゲームでも同じことで、コスティキャンはこう言っています。


「ゲームでも同じことだ。プレーヤーが、自分が味方している勢力に感情移入
し、ゲーム内の出来事を自分自身の問題として感じるようになれば、ゲームは
感動的な体験になりうるのだ」


●感情移入のさせ方

 ゲームに感情移入させるために、「ゲーム内の出来事を自分自身の問題とし
て感じさせる」ことは、実はそんなに難しくはありません。


 なぜかというと、ゲームではほとんどの場合プレイヤーが主体であり、プレ
イによってゲームの進行が左右され、勝敗が決まるからです。

 プレイによって起こることは、はじめからプレイヤーの問題なのです。

(逆にプレイじゃないことによって起こることは、プレイヤーは自分の問題と
みなしづらい。例えばムービーなど)


 だからゲームはプレイするだけで、ほとんど自然に感情移入が促されます。


 特に、ゲームトークン(プレイヤーが操れる対象)が1つならば、プレイヤー
はそのキャラクタを育てたりすることに多くの時間と労力と注ぎ込むことに集
中しますから、自然と感情移入は強まります。


●プレイヤーの視点(焦点)をどこに置くか


 「しかし、そんなにのめり込めるゲームばかりじゃないよ!?」

 

 今のゲームで感情移入がしずらいゲームがあるとしたら、それはコスティキャ
ンが指摘するように、

 

「プレイヤーの視点(焦点)をどこに置くか」

 

が明確になっておらず、プレイヤーに混乱を与えているのかもしれません。


 「プレイヤーの視点(焦点)をどこに置くか」、これを明確にすることは感
情移入を促進する1つの手法だとコスティキャンは言います。


 多くの場合、ゲームの主人公であるキャラクタは「プレイヤー自身」であり、
プレイヤーの意志によって行動しますが、そのキャラクタが勝手な行動をした
り、勝手な解釈でゲームの重大な局面を進めてしまったら?


 おそらくプレイヤーは意識するにしろ、しないにしろ「これは自分ではない」
と思うことでしょう。

 そこで、プレイヤーはなにに感情移入すればいいのか分からなくなって混乱
してしまいます。


 これは今主流のストーリーテリングが軸になっているRPGによくありがち
な状況だと思います。


 自分が操るキャラクタが、一時操れる時間はあるが、実は自分ではない...。


 こういう場合は、ゲームの展開を左右する場面では、必ずプレイヤーの意志
を介入させるようにする必要があります。


 もっと固く作るなら、プレイヤーキャラクタに「喋らせない」で、選択(意
志決定)だけをさせることです。


 もしくは、あくまでプレイヤーは「観客」だと位置付けてしまい、進行のほ
とんどをシステム側で行なってしまうほうがいいでしょう。
(そうなるとゲーム独自の感情移入とはちょっと離れますが)


 コスティキャンは視点の混乱について、ボードゲームの例をあげています。


 ロンメル将軍の大部隊をシミュレーションするにあたって、パイロット1人
1人をどこに配属するかといったことから、個々の大隊における飲料水の補給
状況に至るまで、長時間かけてあらゆることを管理するゲームがあります。


 しかしこのゲームでは、プレイヤーはいったいどのような視点でゲームをす
ればいいのでしょう。


 全体的な戦略を考えつつも、かつ細かい管理も行なう。


 プレイヤーはいったいどちらの立場に感情移入すればいいのでしょうか?


「これが視点の混乱である。このゲームでは、個々の項目を詳細にシミュレー
トしようとするあまり、ある意味ではかえってシミュレーションの正確さを台
無しにしているのだ」


(ちなみにRTS(リアルタイムストラテジー)というジャンルでは、管理するこ
とを簡略化して指揮する側に視点を絞っています)


  →ゲームを分析するときには、「プレーヤーを感情移入させるには
   どうすればよいか。プレーヤーにとって重要なゲームトークンを1つ
   にする手だろうか。だとすれば、そのトークンに対する感情移入をより
   強化する方法は何か。また、ゲームトークンを1つに絞らないのなら、
   何に対して感情移入させるのか。それを強化する手は何か。

   このゲームにおいてプレーヤーは誰の立場になるのか。プレーヤーの
   視点をどこに置くように仕向けるのか」といったことを考えなければ
   ならない。

 

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