コスティキャンのゲーム論・解説(20)

 

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●「ゲーム」を魅力的なものにする他の要素:劇的な盛り上がり

 「劇的な盛り上がり」。

 これはゲームのしくみでも、かなり注目している項目です。

 というより、


「これがなければそのゲームのヒットはない!」


 それくらい重要に考えています。


 水準以上の「劇的な盛り上がり」を実現できれば、そのゲームはほぼ成功と
言えます。

 思い浮かぶのは、「風来のシレン」のモンスターハウス。

 あ、この説明はしなくてもわかりますよね?
(すごいしかけですよね...)

 それにしてもこういう項目をちゃんと出してくるコスティキャンは偉大です。


●つまらないゲームと面白いゲームの違い

 コスティキャンは、

「ネビュラ賞を受賞した作家Pat Murphyによると、小説のプロットを作るコツ
は『緊迫感を高め続けること』にあるそうだ。つまり、ストーリーが進むにつ
れて話をどんどん盛り上げてゆき、クライマックスシーンまで読者をぐいぐい
引っ張って離さないというわけだ」

 と言います。


 ゲームでも同じです。


 小説のプロットを作るコツと同じように、ゲームをどんどん盛り上げていか
なければ、プレイヤーは平凡な毎日をゲームの中に感じ出します。


 つまり、劇的な変化がない状況に、飽き飽きしてくるのです。

 ゲームは非日常的な感情の動きを与えてくれるメディアだからこそ、大勢に
とっての存在意義が生まれますから、恒常的、日常的ではだめなんです。


 ゲームをプレイするのはそんな状況を味わいたいからではないですよね?


 だからこそ、劇的な盛り上がりが必要です。

 では、それはどうやって作ればいいんでしょうか?


 コスティキャンは作り方の1つを、野球を例にあげて説明します。


「あなたがヤンキーズのファンだとしよう。もちろん、あなたはヤンキーズの
勝利を望んでいるだろう。しかし、球場に駆けつけたあなたは、ヤンキーズが
第1イニングから7点差でリードし、そのまま21対2というぶっちぎり大差
で勝つ、そんな試合を見たいだろうか。そりゃヤンキーズが負けるよりはマシ
だろうが、こんな試合は面白くないと思うに違いない。

 それに対して、最終回の終了間際、もはやこれまでかと思われたとき、ヤン
キーズが逆転サヨナラ満塁ホームランをかっ飛ばしてくれたなら、きっとあな
たは興奮と歓喜のあまり座席から飛び上がって歓声を送ってしまうことだろう。
 かように、緊迫感はゲームを面白くしてくれるのである」


 そうです。
 常に、ギリギリの線の緊迫感。
 死の淵、敗北の寸前、どちらが勝つかわからない状態。

 逆転が起こる状況での奇蹟。


 シューティングゲームで、ボンバーが無限に使えたとしたら?

 RPGで、いきなりレベル99だったら?

 格闘ゲームで、自分のHPが全然減らないとしたら?


 なんの盛り上がりもないですよね?


 ボンバーに限りがあるからこそ、使う場所をやりくりして、慎重に修羅場を
抜ける算段をし、ギリギリで抜けるから面白い。


 レベル1からスタートして、徐々に強力な魔法や武器が使えるようになるか
らキャラクタに愛着が湧くし、もう少しレベルが必要な敵がいるからこそ、ギ
リギリの戦闘が発生する。


 相手とのプレイ技術が拮抗する状況が生まれるからこそ、どちらが勝つかわ
からないドキドキのプレイが生まれ、格闘ゲームファンは熱くなる。

 

 もちろんこれらは、毎回ギリギリの展開が生まれるかというと、そうではあ
りません。


 しかし作る方法はあります。


 ヒントは、「風来のシレン」です。

 「風来のシレン」では「モンスターハウス」というイベントによって、意図
的に劇的な盛り上がりの状況が作られます。


 こんなふうにうまく「劇的な盛り上がりを生むシステム」を作ることができ
れば素晴らしいと思いません?


●映画の「流れ」

 実はこういった「劇的な盛り上がり」作ることは、映画でも小説でも、バラエ
ティ番組でも、エンタテインメントならなんでも同じなんです。


 いい作品では「劇的な盛り上がり」までの流れがキッチリ作られています。


 ハリウッド映画では、シナリオのセオリーがあり、ほとんどの映画が、


「はじめの5分でインパクトのある展開を見せ、観客のこころをつかめ」

「中盤では主人公が乗り越えるべき障害を明確にし、緊張と期待を高めろ」

「結末では解決によって緊張をゆるめ、完全な統一(ゲシュタルト)を見せて
観客を満足させろ」


 という3幕で構成されています。

 この「流れ」は、今や観客を徐々に盛り上げていくためにはずせないものに
なっています。
 そしてこの流れは、他のエンタテインメントでも応用が可能です。


 こういった緊迫感を続かせる流れ、構成、システムを用意することによって、
お客さんを満足のいく状況に持っていくことができるわけなんですね。


●テトリス

 テトリスのような規模の小さなゲームでさえも、この「流れ」があります。


 テトリスはゲームスタート後、ブロックの落ちるスピードがだんだん早くなっ
ていきますね。

 そしてかなり早くなり緊張感を高めたあとで、一端スピードが遅くなる。

 ここで安堵させているわけです。


 そしてその後は猛烈なスピードになるまで、右肩上がりでスピードが上がっ
ていき、緊張感がギリギリの線まで盛り上がるようになっていますね。


 テトリスは映画のように終わりがありませんから、最後はこのように緊張が
延々と続くような構成になっているわけです。


  →ゲームを分析するときには、「このゲームを盛り上げるにはどう
   すればよいか」という点について考えなければならない。

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