コスティキャンのゲーム論・解説(21)

 

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●全てのゲームはダイスの下で兄弟である

「・・・あるいは明けの明星の下で、またはともかく何かの下で」


 長かった「コスティキャンのゲーム論・解説」の連載も、今回で終了です。
(5ヶ月ほど連載していましたね)

 今回は締めです。

 「ゲームの定義」と「良いゲーム・悪いゲームの見分け方」、コスティキャ
ンはこれに答えます。

>さて、ようやく最初に提出した質問に答える準備が出来た。

>質問:無数の種類があるゲーム全てに共通する要素があるのだろうか?

>回答:確かにある。全てのゲームは「意志決定」「資源管理」「目標」を持っ
>   ている。これは「チェス」「セブンス・ゲスト」「スーパーマリオ」
>   「バンパイア:ザ・マスカレード」「マジック:ザ・ギャザリング」
>   「ルーレット」の全てに共通する。これこそが「ゲーム」の定義なのだ。

 

 「意志決定」「資源管理」「目標」。


 コスティキャンはすべてのゲームがこれらの要素を持っている、と言います。


 ただ、この定義は時流によって変わるものと見たほうがいいでしょう。


 コスティキャンも意志決定のないゲーム「キャンディランド」を挙げていま
すし、日本でも目標のないゲーム(たとえば「アクアノートの休日」等)が出
たりしています。


 MMORPGなども最終的な目標はなく、エンドレスですね。


 ただ私が思うには、「正当派なゲーム」、つまりゲームらしいゲームには、
この要素が不可欠だと思います。


 また、メガヒットしたゲームという視点から見れば、すべてのゲームにはこ
れらの要素が入ってます。
(もちろんコスティキャンのゲーム論はヒットゲームからの視点ではないので、
ヒットゲームには別の共通項があります)


 注目すべき基本要素だと言えるでしょう。

 

>質問:「良いゲーム」と「悪いゲーム」をどうやって見分ければいいのか?

>回答:残念ながら、まだ最終的な答えは出ていない。しかしながら、ゲームの
>   魅力を分析するときに役立ちそうな基本概念はいくつか見つかった。
>   「チェス」の魅力は、複雑で困難な「意志決定」にある。

>   「マジック:ザ・ギャザリング」の魅力は、果てしなく多彩な展開に求
>   めることが出来る。

>   「ルーレット」は、強烈な「目標」を持っている。(つまり、現金だ)
>   もっと詳細な分析が可能なことは疑うべくもない。だが、それは読者の
>   ために残しておこう。


 注目!

 良いゲーム、ハマるゲームとは? そしてヒットするゲームとは?

 

 「『チェス』の魅力は複雑で困難な『意志決定』」。

 「『マジック:ザ・ギャザリング』の魅力は、果てしなく多彩な展開」

 「『ルーレット』は、強烈な『目標』を持っている。つまり現金だ」

 

 確かにそうです。
 この3行には、宝の山が隠れています!


 ここから掘り下げて考えていくと、いろいろ興味深いことがわかってきますよ。
 「どうやって多彩な展開を作り出しているのか?」など、考えてみてください。


 私がゲーム研究を始めたのは、こうした「良いゲーム」を作るための基本概念
に焦点を絞り理解すれば、あとはそこからいくらでもヒットのバリエーションが
作れるのではないか? と考えたからです。


 そしてその考えを昇華させたのが、「セコンド・メソッド」であり、「エモー
ショナル・ゲームデザイン」だったりします。

(エモーショナル・ゲームデザイン関係は現在2つ公開されています)
http://www.n2gdl.net/bookshop/tips/index.html

 

 そして最後に...コスティキャンは、この「ゲーム論」は中間報告であり、「ゲー
ムデザイン技法の分析理論」といったタイトルでまとめられるべき包括的なな体
系を構築する最初の試みだと言います。


 賛成・反対、他の分析手法、そうした意見は、どんどん取り上げられるべきだ
し、意見を交し合って欲しいとコスティキャンは言います。


 私はこの提言に対して微力ながら答えたつもりですが、これを読んでいるあな
たも、ぜひあなたのサイトや、掲示板の書き込み、それからゲームのしくみへの
メールに、あなたの意見を挙げて欲しいと思います。


 最後の最後に、コスティキャンはゲームと、ゲームデザインという仕事への愛
を表明します。

 

「もし、ゲームデザイナーが「芸術」と呼ばれるに値する仕事をしたいのであ
れば、ともあれ商業的な成功を超えた高みに目標を置くにはどうすればよいか
考え始めなければならない。

 なぜなら、ゲームデザイナーという仕事は、民主的な「観客参加型の芸術の
創造」を目指す、芸術改革運動の担い手となりうるからだ。

 もし、この運動が成功すれば、ゲームデザイナーは人類の文明をさらに高め
ることが出来るだろう。失敗すれば、このTV時代に、知性の欠落したさえな
い娯楽がまた1つ生まれたというだけで終わるに違いない」

 

 あなたもぜひ、映画や小説のように、単なる娯楽ではない、芸術の域まで達
したメディアに「ゲーム」を高める運動に加わってください!


(以下謝辞として、コスティキャンのゲーム論に関わった方の紹介です)

----------------
著者紹介
 グレッグ・コスティキャン。1960年ごろ生まれ。

 職業ゲームデザイナー。1976年にSPI から出たNorth Africa Quad のうちの一つ
のデザインを担当してデビュー。1975~1982までSPI で働き、1985~1987にかけて
WEST END GAMESのR&Dチーフを務める。現在までに23個のゲームをデザイン/
出版し、それ以上のゲームのデベロップを担当。Origins 賞を5回受賞。

 

主な作品
   パックス・ブリタニカ, Pax Britannica (VG), Origins 受賞
   ウェブ・アンド・スターシップ, Web and Starship (WEG),  Origins 受賞
   怪獣征服, The Creature that ate Sheboygun (SPI), Origins 受賞
   魔法の大陸, Barbarian Kings (SPI)
   死の迷宮, Death Maze (SPI)

   スターウォーズRPG、Star Wars RPG (WEG), Origins 受賞
   パラノイア、PARANOIA (WEG), Origins 受賞
   トゥーン、Toon (SJG)

   上記の他、Air War (SPI), Imperium Romanum (WEG), Killer Angels (WEG)
   等のデベロップを担当。

 

小説
   ANOTHER DAY,ANOTHER DONGEON 長編ファンタジー
   BRIGHT LIGHT BIG CITY "ISAAC ASIMOV'S SF MAGAZINE" 1991年2月号掲載

 現在は Crossover Technology 社で、ネットワークを用いた直接民主制によって
アメリカの政策を決定する大がかりなシミュレーション "ReInvent America" のプ
ロジェクトを手がけている。

 

日本語版について
 日本語版は、著者の許諾のもと、NIFTY-Serve ロールプレイングゲーム・メイン
フォーラム(FRPGM) の有志によって、1995年10月から11月にかけて作成されたもの
である。

 企画・制作 : FRPGM 英文翻訳プロジェクト design_j.txt制作チーム

 

         代表:馬場秀和 (PDF00200)

         協力:Bugger  (LDA00166)
            SHIGE(SDI00627)
            御宗銀砂 (HGF01053)
            AGE  (NBB02052)
            とろり  (GAG02164)
            RIDDLE  (NCB02234)
            Shino  (HFH00072)
            佐藤俊之 (PGB01043)
            西川知宏 (VED04252)
            Genich!  (SDI00769)


 日本語版に対する絶賛は、馬場秀和まで。メールアドレスは『馬場秀和ライ
ブラリ』のトップページに載っています。本ドキュメントの最後にあるリンク
から辿って下さい。
http://www004.upp.so-net.ne.jp/babahide/


 

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